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不器用なふたり 預かりもの

Auteur: 相沢蒼依
last update Dernière mise à jour: 2026-01-16 05:33:58

橋本のハイヤーを使ってるお客様から――正確にはそのお客様の知人から、変なものを預かった。

パッと見はただの黒い手帳で、開かないように大きな鍵がつけられていた。しかも見た目はただの手帳なのに、中に何が入っているのか分からないくらい、異常に重たいものだった。

お客様の話によれば持ち歩ける金庫になっているそうで、大型トラックが踏んでも潰れない上に、炎の中に投げ込んでも燃えたりしないらしい。

そんな異質なものを、1週間も預かれという。

(藤田さんはトラブルに巻き込まれたことがないと言っていたが、きな臭さを感じさせる物を傍に置きたくはない――)

そう思わせる理由のひとつは、お客様の知人の職業にヤがつくせいだ。もしくは暴でも可。性格も相当イカれているのは、ちょっとの間ソイツをハイヤーに乗せたことで分かった。

もうひとつの理由は『中身は知らないほうがいい。じゃないと、ヤクザと警察の両方に狙われる』という言葉を、藤田の口からきいたせいだった。

「木を隠すなら森の中、ヤバいものを隠すなら、同等のレベルでヤバいものの中に紛らせたら大丈夫だろ」

ハイヤーの中で、こそっと呟いたひとりごと。最後に乗車させた榊を降ろした足で、宮本が住んでるアパートに向かった。

ピンポーン♪

インターフォンを鳴らしたタイミングで開けられた、アパートのドア。事前に行くことをアプリのメッセージで知らせておいたせいだろうが、宮本が玄関で待ち構えていたことに驚きを隠せず、橋本は顔を引きつらせた。

「陽さんいらっしゃい! 今日逢えると思ってなかったから、とっても嬉しいです」

「ぉ、おう ( ̄_ ̄ i)タラー」

(平日はよほどのことがない限り、俺から逢いに行くことがなかったせいか、喜び方が半端じゃねぇな。厄介な物を置いたらすぐに帰る予定だったのに、これじゃあ言い出せやしない……)

「この時間帯だと、仕事が終わったばかりですよね。疲れてるのに、わざわざ来てくれてありがとうございます」

やたらと弾んだ声で言いながら橋本の肩を抱き寄せるなり、さっさと室内に誘う。

「まぁな……」

以前よりもヲタクグッズが片付けられた室内は、初めて来た当初よりも居心地のいい場所になっていた。

メッセージで来ることを知らせていたからか、美少女フィギュアも後ろ向きに設置されていて、宮本のヤル気があからさまに分かってしまった。

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